事実と異なることを言う依頼者

名古屋地裁令和3年10月20日判決

判例タイムズ2022年5月号(1494号)を読んでいたら
虚偽の主張を続け
虚偽の陳述をした一方当事者に対し

訴訟費用の負担を命じるとともに
過料の制裁を科した
名古屋地裁令和3年10月20日判決
が掲載されていました(125頁)。

判決要旨の内容からは
弁護士がついていない
いわゆる本人訴訟なのだろうと思って
判決文にあたったところ
驚いたことに
その当事者にも弁護士がついていました。

依頼者との関係が問題となるのは

依頼者との信頼関係をどうやってつくってゆくのか。

多少依頼者と弁護士の関係が悪くても
当初の見通しどおしの結果であれば
結果オーライなので
関係がこじれることは少ないでしょう。

依頼者と弁護士の関係が重要になるのは
見通しと違う不利な結果
になる場合です。
両者の関係が悪いと
最初の話と違う
ということになるからです。

交渉や訴訟は相手がいるので
妥当な結果を導くためには
代理人相互の協力が欠かせません。

代理人同士が事案のスジを共有できている場合
裁判になった場合の顛末を共有できているので
裁判にならずに合意に至ることが多いです。

分が悪い方の代理人が
本人を説得して
妥当な着地点に落ち着くからです。

逆に
イケていない弁護士が相手方につくと
そういう代理人はレスポンスが悪く
交渉でまとまることはほとんどないですから
良い結果をなることも少なくなります。

そうすると
結果が悪い→依頼者と弁護士の関係もさらに悪化
という負のスパイラルになりがちです。

依頼者との関係

積極的に虚偽を伝える方は
それほど多くないと思いますが

ご自身にとって不利なことを
代理人に教えないという方は
少なくないと思います。

交渉や訴訟を続けていく中で
相手方から
こちらに不利な証拠が提出された経験は
少なからずありますし。

だからと言って
依頼者が意図的に隠していた
というのとはチョット違うと思っています。

ホントのことは言いにくのは
だれもが持つ普遍的な気質だと思うからです。

30年くらい前
「正義は勝つ」
という弁護士が主役のドラマで

主人公が相手の弁護士に
「依頼者は嘘をつく。常識でしょう。」
と言い放つ場面がありましたが

ホントのことを言っているのか
と依頼者を疑って疑心暗鬼になるのではなく

何か不利なことが隠れているかもしれない
という態度で臨んでいます。
その方が精神衛生上良いからです。

とはいえ
不利なことを含めて
包み隠さず仰ってくれる依頼者の方におかれましては
この場を借りて感謝いたします。

以上