取得時効における課税リスク
民法では
民法144条は
時効の効力は、その起算日にさかのぼる
と定めています。
つまり、法律上は
取得時効が認められると
起算日に遡って
その財産の所有権又はその権利を取得することになります。
税法では
取得時効の税務上の取扱いについて
タックスアンサーでは
以下のように規定しています。
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No.1493 土地等の財産を時効の援用により取得したとき
[令和2年4月1日現在法令等]
土地等の財産を時効の援用により取得した場合には
その時効により取得された土地等の財産の価額(時価)が経済的利益となり
その時効により取得した日の属する年分(時効を援用したとき)の一時所得として
所得税の課税対象となります。
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/04/07.htm
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つまり、取得時効が認められた場合
起算日が属する年分ではなく
時効を援用した日が属する年分の一時所得として課税される
という点で、
法律上の取扱いと異なる取扱いがされることになります。
弁護士としては
実際にこのことが問題となるのは
所有権が争われている事案において
■承継取得
■取得時効
のいずれも主張できる場合です。
というのも
どちらの主張が認められるかによって
課税の有無が異なってくるからです。
弁護士としては
主位的主張 承継取得
予備的主張 時効取得
という法律構成を採用して
依頼者の課税リスク回避に努めるべきです。
その上で、依頼者には
時効取得には課税リスクがあることを
予め説明しておく必要があるでしょう。
以上