映画 コット、はじまりの夏
違う惑星の変わった恋人
のような会話劇が好きなのですが
灯台守の恋
八月のクリスマス
のように
敢えて言葉にせず
お互いに相手を思いやる佇まいを描く
映画も大好きです。
そんな宝物のような映画に出会うことが出来ました。
舞台はアイルランド。
主人公は9歳の女の子コット。
コットは
年の離れた2人の姉からも
両親からも
厄介者扱いされ
学校にも居場所がない。
裕福ではないのに家庭なのに
母親は4人めの子を妊娠中のため
両親は母親のいとこ夫婦に
夏休みの期間中
コットを預けます。
映画は
コットとその夫婦のひと夏の出会いを描いています。
言葉で説明しない
叔母はコットを風呂に入れ
ブラシで爪を洗ってあげます。
途中に、ハンガーにかけられた
汚れた洋服が写しだされます。
お風呂から上がると
数をかぞえながら
コットを髪の毛をとかしてあけます。
コットの汚れた洋服
叔母がブラシで爪を洗う
コットが女の子として
扱われてこなかったことがわかります。
また数を数えながら髪の毛をとかすシーンは
後からも何回か登場しますが
その度に数が減っていきます。
自分の家では
髪の毛をとかしてもらうことすらなかった
コットの髪の毛が健康になってきたことを示唆するシーンです。
叔父との距離感
最初からフレンドリーだった叔母に比べて
コットがお休みと言っても
テレビを見ている叔父は振り向きもせずに
お休みというように
叔父は無愛想で
コットはどのように接したら良いかわかりません。
休憩中に食べていたビスケットを
去り際にコットに渡す叔父
牛舎の掃除をしている叔父をまねて
そっと一緒に掃除するコット
テレビを見ている叔父に
頭をゆだねて一緒にテレビを見るコット
二人の関係が変わったことを
セリフではなく
映像でわからせるシーンが最高です。
食事中に聞いていたラジオから
新学期の広告が流れ
ラジオのスイッチを
切る叔母とその後の沈黙。
夏休みが終われば
コットは家に戻らなければならないことを
今は考えたくない3人の思いが伝わります。
この映画がデビュー作という監督の次回作が
今から楽しみです。
以上