映画2本 「ある男」「宮松と山下」

いずれも同じ11月18日(金)に
封切りされた邦画です。

ストーリーは全く違うのですが
根底に流れているテーマは
驚くほどに通っていました。

人はなぜ
自分ではない他人になりたいのか

ある男

映画の中では
無神経な言動をして
登場人物をを傷つける人間として

妻夫木聡演じる弁護士の義理の父(モロ師岡)
窪田正孝演じる男が名乗る男の戸籍上の兄(眞島秀和)

が登場しますが

登場人物たちは
彼ら以外の無数の人間の無意識な言動に傷つき
それが澱のように蓄積されたきたのでしょう。

映画終盤での
中学生になる長男と
安藤サクラ演じる母との会話が
この映画の全てを語っているように感じました。

宮松と山下(ネタバレあり)

例の件で本人による宣伝が出来なかったのが
勿体ない映画です。

記憶を失って「宮松」として
生きてきた「山下」は
記憶を取り戻したにもかかわらず
自分の意思で
「宮松」として生きていくことを選択します。

彼がなぜ「山下」にもどらなかったのか。

タバコの吸い殻、縁側での妹との会話など
記憶が戻ったことを示唆するシーン

記憶がもどったからこそ
「山下」にもどらかったのだ
という妹のセリフ

妹との再会した時や
洗濯物を畳むときの妹の行動

こうしたシーンがあるからこそ
京都にいる「宮松」に会いに来た
元同僚の谷が
妹に言及したときの
「宮松」の苦い表情の意味が生きてきます。

これ以外に見逃していることが多いはずなので
もう一度見るつもりです。

映画のテイストは
香川照之さんが
さえない地方の中年を演じた「揺れる」
に近いシリアスな内容なのですが

香川照之さんは
「鍵泥棒のメソッド」というコメディ映画では
記憶を亡くした大部屋俳優を演じており

画面はどうしても
「鍵泥棒のメソッド」とオーバーラップ
してしまいますので
「鍵泥棒のメソッド」を見た方はご注意ください。

以上

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