生前に払い戻された預貯金

判例タイムズ2022年11月号(1500号)39頁に
標記を題材とした裁判例の裁判官による
分析記事が載っていました。

寝たきりの方は自分で金融機関に行くことは
事実上できないので
その間に払戻しがされている場合
その払い戻しを行ったのは
本人以外の身の回りに居る方
ということになります。

相続が開始すると
生前の払戻しについて
相続人間で紛争になることが多くなります。

無断で使ったというためには

実際の争いとしては
相続人間の争いなのですが

法的には
■ 亡くなった方 → 払出した相続人
に対する請求権があるといえるか
が問題となります。

請求権の内容をどうするか

これまでの裁判から

  • 不当利得返還請求権
  • 不法行為に基づく損害賠償請求権

のいずれしかないと思い込んでいたのですが

長田判事は

■44頁
 委任契約上の善管注意義務違反による損害賠償請求
 が第一義的に検討されるべき

■47頁
 著者としては…
 不法行為構成や不当利得構成を採用すべき理由に乏しい

と主張されています。

私個人は
契約責任の構成は全く考えておりませんでした。

大阪民事実務研究会の名義の記事であり
裁判官の意見として明示しているので
傾聴すべきと思いました。

以上

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