裁判所の嘱託登記で思うこと

登記にしても
戸籍にしても
当事者が申請するのが原則ですが

例外的に
裁判所が職権で
登記や戸籍を申請することがあり
嘱託
と呼ばれています。

会社法では
第四節 登記の嘱託(裁判による登記の嘱託)
のように独立した節を設けている法律もあるくらいです。

家事事件では
規則において

第五節 戸籍の記載等の嘱託
(戸籍の記載の嘱託・法第116条)第76条
(後見登記法に定める登記の嘱託・法第百十六条)第77条

のように定めています。

成年後見人死亡の場合

成年後見人の方が亡くなり
後任者として
私が成年後見人に就任した事案がありました。

私が就任したという登記は
裁判所が嘱託として行っており

私が就任した理由が
前任者の死亡なので

てっきり
前任者の死亡を理由とする
登記も裁判所が嘱託で申請するものと思っていたのですが

裁判所から
申請してください
という指示がありました。

「家事事件手続き法下における書記官事務の運用に関する実証的検証 ー別表第一事件を中心に―」(司法協会)
の108頁には、「表 後見登記嘱託の対象となる審判」という一覧表があり

それを見ると、確かに

 〇成年後見人の選任
 〇成年後見人の解任

は挙がっていますが

 成年後見人の死亡

という項目はありませんから
嘱託登記の対象ではありません。

法律なのでやむを得ないですが
釈然としません。

前任者の死亡により
成年後見人が新たに選任された事案なのに

後任者の変更登記だけが嘱託でなされ
前任者の変更登記は後任者が申請で行う

という取扱いなんで無駄以外ないでしょう。
同時に裁判所が嘱託すれば済むことです。

以上


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