家事事件手続法271条によって調停が終了した場合

ある遺産分割調停

ご兄弟から
遺産分割調停を申し立てられた方が
相談にお越しになりました。

遺産分割調停が不成立で終わった
というお話だったので
自動的に審判に移行するはずですよ
とお答えしたところ
審判にはなっていないとのこと。

そこで
家庭裁判所で終了証明を申請してもらいました。

そこには
家事事件手続法271条によって終了した旨が記載されていました。

条文は

272条4項が審判移行する場合として規定しているのは
274条1項で終了した場合だけで
271条は対象となっていませんから

相談者の調停は271条で終了しているので
審判に移行しないことになります。

271条による終了するためには

①性質上調停を行うのに適当でない
 又は
②不当な目的でみだりに調停の申立てをした

のいずれかの場合だけです。

今回は

遺産分割調停ですから
②に当たらないのは明かですし

お話を伺っている限り
①にあたるとは思えません。

コンメンタールのような条文解説書を
紐解いてみても
遺産分割調停で①となるケースは
考えにくいです。

遺産分割調停は
性質上、相続人間の感情対立が顕在化しやすい以上
審判に移行して裁判所が結論を出してしまう方が
迅速な解決になるはずです。

審判にしたくない裁判所が
271条を持ち出した印象が拭えませんでした。

以上