審査請求で出会った原処分庁側の職員について

国税通則法第28条《更正又は決定の手続》は
税務署長が更正通知書や決定通知書を送達して行う旨を規定しているとおり、
通知書の大半は税務署長名義です。

また、課税処分に対して再調査の請求がされた場合には、
税務署長などの再調査審理庁が請求の当否を判断し、
税務署長が再調査審理庁という名義で再調査決定書を作成します
(国税通則法第81条《再調査の請求書の記載事項委等》第3項、第83条《決定》参考)。

さらに、課税処分に対して審査請求がされた場合
課税処分を行った税務署長が原処分庁という名義で
答弁書などの主張書面を作成して審判所に提出します
(国税通則法第93条《答弁書の提出等》)。 

このような条文の規定ぶりをみると、
税務署長が、課税処分、再調査の請求、審査請求という
全て段階を取り仕切っているように見えますが、
再調査の請求以降は、かなりのウェートで国税局が関与しています。

 局はどの段階から関与するのか

課税処分の段階で国税局がどの程度関与するかについては
税務署に調査に行ったときに局との署やり取りの記録を見る範囲でしかわかりませんが
事案によって区区という印象でした。

これに対し、再調査の請求や審査請求の段階に移ると
局がガッツリ関与してきます。

東京国税局の課税第一部に審理課というセクションがあり、
審理課が東京国税局管内の再調査の請求や審査請求を実質的に取り仕切っています。

答弁書などの主張書面や再調査決定書の作成名義が税務署長であっても
その中身を書いているのは審理課の職員と思って間違いありません。

なお、金沢国税局には審理課というセクションはなく
審理官というポジションの方が
金沢国税局管内の再調査の請求や審査請求の窓口になっていました。

審理官1人で全て税目に対応することは不可能ですから
審理官の下に各税目担当の職員が配属され、
その方たちが答弁書などの主張書面や再調査決定書を実質的に書いていました。

 担当者いろいろ

課税処分が裁決で取り消されると、課税庁は争うことが出来なくなるせいか
(国税通則法第102条《裁決の拘束力》参照)
問題がある処分であっても、取り消されないよう、様々な主張をしてきます。

私が担当審判官となったある事案では
民法の規定と矛盾する主張が堂々と答弁書に記載されていたので、
釈明を求めたところ
別の矛盾が浮き彫りになる回答をしてきたことがありました。

この回答を原処分庁の主張として取り上げるのは躊躇するような内容だったので
何とか主張を変更してもらうべく働きかけたものの

審理課に配属されている職員は自己肯定感が強く
問題があるということを認めたくないのか
問題が理解できていないのかわかりませんでしたが
一向に応じてくれる気配はありません。

困った私は、その担当者の上席者と個人的に仲の良い職員を通じ
非公式に私の問題意識を伝えてもらったところ
すぐに問題があることを理解して頂き
その後、新たな主張書面を提出してもらうことができました。

ちなみに、釈明に対する回答を審理課経験者の審判所職員に見てもらったことがあり
その方曰く、
 審理課OBとして恥ずかしい
 担当職員には喝を入れたい
 審判官には迷惑をかけて申し訳ない
というコメントを頂きましたので、
当初の主張が適切ではないということは、概ね間違っていない評価だと思います。

また、その事案は取消事案だったせいか、人事異動直前の裁決だったにもかかわらず、
その担当者の方は審判所に電話をかけてきて、
審判所の対応にクレームをつけてくるような方でした。

また、別の事案で、調査で処分に必要十分な証拠を入手できていなかったにもかかわらず
再調査の請求が棄却された事案の審査請求において
ある税務署の職員は、私に対して、こんな取引許せますか
と発言するなど、歪んだ正義感を丸出しでした。

その後、何度も釈明と証拠提出を求める私に業を煮やし
こんなに厳しい釈明を求められたことは今までないと
審判所に苦情を言ってきたのもその方でした。

 自ら処分を取り消す税務署長も

局や税務署の職員はバランス感覚が欠けた者ばかりなのかと思うかもしれませんが
逆に、課税処分をした側の税務署長の中には
当初の課税処分がおかしいと判断した場合
審査請求後であっても、職権で課税処分を取り消してしまう方もいらっしゃいます。

特に、毎年7/10の人事異動前に行われた課税処分に対し
人事異動後に審査請求がされているような場合
同じ税務署長という職責であっても
人事異動後に署長に就任する方は別の方がほとんどなので

前任者で行われた処分がおかしいと思えば
後任者がこれを取り消すことはそんなに珍しくないそうです。

実際、私が担当審判官となった重加算税の事案において
後任の税務署長が重加算税の部分を職権で取り消してしまい

請求人は重加算税だけを争い、
過少申告加算税は争わない、というスタンスだったので、
結局、審査請求を取り下げてもらったことがありました。

以上

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