映画 ワース 命の値段

交通事故で亡くなった
聴覚障害者の女の子の民事裁判。

生涯賃金を算定するに当たり
聴覚障害をどのように取り扱うのか。

大阪地裁が健常者の85%としたことについて
NHKニュースウォッチ9が
その日のトップに取り上げていましたので
注目度が高かったことがわかります。

損害賠償金の算定に当たり
多くは差額説という方法によっています。

障害者と健常者の生涯賃金には
統計上の差異がある以上
差額説を前提とする限り
健常者と同じという親御さんの主張を
全面的に取り上げることは
残念ながら難しいです。

新聞報道によると
統計上
聴覚障害者の生涯賃金は
健常者の約70%ということですから
裁判所が85%としたのは
100と70の中間を採ったといえるでしょう。

今回の裁判とリンクするような
映画が2月23日から公開となりました。

ワース 命の値段

911で亡くなった方の遺族が
航空会社に損害賠償の裁判を起こすと
航空会社は破綻してしまう。

しかし
広大な敷地を持つアメリカにとって
飛行機は重要な交通インフラだから
無くす訳にはいかない。

そこで
税金で賠償金を負担する代わりに
損害賠償の裁判をすることを放棄してもらう。

その遺族との交渉を請け負った弁護士の物語。

遺族たちへの最初の説明会。
機械的な計算方法を説明しようとする主人公に対し
高額所得者と幼い子でなぜ金額が異なるのか
一律でいいじゃないかと詰め寄る遺族。

申請期限の3週間前になっても
申請があったのは15%。
このままでは目標の80%には届きません。

主人公は決断します。
遺族の事情に寄り添った金額にする。

依頼者にとって弁護士に依頼することは
人生に一度あるかないかの重大事である。

弁護士をしていると
逆に紛争は日常なので
できるだけ速く事件を終了させるかを優先し

依頼者の方の心情に配慮することを
忘れそうにしまうことがあります。

自警を込めて何度でも見る映画になりそうです。

以上

前の記事

鎌倉 キャラウェイ