映画 落下の解剖学
夫婦と息子の3人が暮らす
人里離れた山荘で
夫が家の前で頭から血を流して死んでいた。
検死の結果
上の階から落ちたものの
致命傷となった頭の傷は
地面で出来たものではなかった。
事実を述べろ
妻は被告人として
息子は証人として
裁判では
客観証拠がなく
目撃者もいないこともあり
検察官は
証人尋問では
証人の意見として
殺害行為があったことを言わせたり
夫のUSBから見つかった喧嘩の音源から
妻が嘘を言っていることを指摘して
あたかも動機があったかのような主張します。
そんな
検察官に対して
弁護人は
事実を述べろ
と言って
検察官をたしなめます。
民事裁判でも
刑事裁判でも
証拠から認められるのは
事実だけです。
証言も
録音も
いずれも証拠であり
証拠としての
証言や録音から認定した事実を
どのように考えるかは
評価という主観の問題です。
証拠と事実の関係は
証拠があって
認定される事実
否定される事実
証拠がなく
認定されない事実
となるという意味で
裁判における事実の存否は
証拠の有無によって決まります。
そして、裁判官は
認定した事実から
結論を出しますから
裁判における当事者は
もっぱら事実を争うことになります。
表題の弁護士のセリフは
このことを指摘しているのです。
顛末は
肝心の映画は
何が真実であったのかを
明らかにしませんから
観客は真実を知ることなく映画は終わります。
ちなみに
この映画の脚本家と監督は夫婦ですが
二度と一緒に映画をつくらない
と言っているそうです。
以上