映画「ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男」
PFOA(パーフルオロオクタン酸:ピーフォア)
残留性有機汚染物質(POPs)
に関するストックホルム条約(POPs条約)の
第9回締約国会議(COP9)が開催され
2019年5月
PFOAの製造・使用等の廃絶に向けた取組みを
条約の下、国際的に協調して行うことが
決まりました。
https://www.meti.go.jp/press/2019/05/20190514003/20190514003.html
この規制のきっかけを作った男が
映画の主人公でです。
恐ろしいのはこの話は実話だということです。
タイヤを食べるのと同じ
PFOA(ピーフォア)は
テフロン加工と呼ばれる製品に使用されており
日本ではフライパンで有名です。
ひとがPFOAを摂取した場合
の危険性をわかりやすく教えてくれ
という主人公の質問に対する
科学者の答えがこれです。
NHKのクローズアップ現代が
2019年5月15日の放送で扱っていました。
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4280/
COP9の直後ですから
さすがクローズアップ現代です。
日本では
化学物質の審査及び製造等の
規制に関する法律が改正されましたが
施行が2021年10月23日からですから
それ以前に製造された製品には適用がないことになります。
この映画を見るまで
問題の大きさ・悪質さがわかっていなかったのが
今年報道された
◆米軍によるPFOS(ペルフルオロオクタン酸:ピーフォス)
を含む水放出
の記事です。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15023278.html
PFOSの規制は2009年の第4回締約国会議(COP4)で追加され
既に発効していますから
10年以上前に危険性が周知された物質を
米軍は放出したことになります。
映画の中でも
主人公が調べていたときには
PFOAという物質名は知られておらず
質問を受けた科学者も
PFOS(ピーフォス)なら知っているという前置きをした上で
タイヤを食べるのと同じ
という回答ししました。
裁判の描写
相手からの情報開示資料が膨大で
書類に囲まれる主人公。
この構図は2021年11月11日のコラム
で取り扱った
映画 モーリタニアン 黒塗りの記録
と同じです。
アメリカ政府と化学メーカーの違いはあれど
巨大組織が相手というところが同じです。
・相手による経済的疲弊を狙った裁判の引き延ばし
・裁判が遅々として進まないことから
依頼者や所属事務所からも疎まれる主人公…
弁護士として見ると
自分だったらどうしただろうか
と自問することが多い映画でした。
以上
補足
町山さんの映画紹介もご参照ください。