株主名簿の代替書類
はじめに
株式会社は
株主名簿を作成しなければならないものの(会社法121条)
上場会社などの会社を除けば
多くの株式会社は株主名簿を作成していません。
このことは株券と似ています。
会社法が施行される平成18年5月より前は
株券発行が原則でしたが
やはり多くの会社は株券を発行していませんでした。
そのため、会社法では
株券を発行しないことが原則となり
株券を発行する会社に限り
定款にその旨を記載するとともに
登記することになりました(会社法214条)。
要は、株券については
会社法制定を境に
原則と例外が逆になったのです。
会社法になっても株主名簿の作成が
求められていることは変わらないのですが
大半は社長一人で持っていたり
家族だけで持っていることが多いので
作成する必要性が乏しいといった事情も影響しているでしょう。
それでも、相続の場合や
事業承継の一環として
株式を譲渡する場合
誰が何株持っているかが確定しないと
価格計算ができません。
株主名簿が作成されていないときは
そうすると、株主名簿がない場合
株主とその持株数を確認するにはどうしたらよいでしょうか。
法人税申告書の別表二「同族会社の判定に関する明細書」を見れば良いのです。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/tebiki2002/02/02.htm
当たり前が当たり前でない?
税理士や会計士には当然のことですね。
でも、多くの弁護士はこれを知らないのです。
というのも、弁護士が、法人税申告書を入手しているのに
株主名簿がないと株主構成がわからないと言っている場面に
3回も遭遇したからです(全部別の案件なので全て別人です。)。
ある士業にとっては当たり前のことが
別の士業にとっては当たり前でないことが
端的にわかる事例でした。
以上