源泉徴収票と支払調書の違い

1 源泉徴収義務は同じ

給与の支払者にも、報酬の支払者にも、
それぞれ所得税法183条と201条により源泉徴収義務が課されています。

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第2章 給与所得に係る源泉徴収
第1節 源泉徴収義務及び徴収税額

第183条 (源泉徴収義務)
居住者に対し国内において
第28条第1項(給与所得)に規定する給与等の支払をする者は
その支払の際、その給与等について所得税を徴収し
その徴収の日の属する月の翌月10日までに
これを国に納付しなければならない。
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第4章 報酬、料金等に係る源泉徴収
第1節 報酬、料金、契約金又は賞金に係る源泉徴収
第201条(源泉徴収義務)
居住者に対し国内において
次に掲げる報酬若しくは料金、契約金又は賞金の支払をする者は
その支払の際、その報酬若しくは料金、契約金又は賞金について所得税を徴収し
その徴収の日の属する月の翌月10日までに
これを国に納付しなければならない。
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2 税務署への報告義務も同じ

給与の支払者は、所得税法226条により
税務署への源泉徴収票提出義務が課されており

他方、報酬の支払者も、所得税法225条により
税務署への支払調書提出義務を課されています。

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第226条(源泉徴収票)
居住者に対し国内において
第28条第1項(給与所得)に規定する給与等の支払をする者は
財務省令で定めるところにより
その年において支払の確定した給与等について
その給与等の支払を受ける者の各人別に源泉徴収票2通を作成し
その年の翌年1月31日までに
1通を税務署長に提出し
他の1通を給与等の支払を受ける者に交付しなければならない。
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第225条(支払調書及び支払通知書)
次の各号に掲げる者は
財務省令で定めるところにより
…翌年1月31日までに
税務署長に提出しなければならない。
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3 支払を受ける者に対する交付義務が違う

所得税法226条は
給与の支払者に対して
 ①源泉徴収票2通の作成義務を課すともに
 ②支払を受ける者に対する交付義務を
課しています。

これに対し
所得税法225条は
報酬の支払者に対して
支払を受ける者に対して支払い調書を交付する義務を定めていません。

したがって
給与所得者は
支払者に対し
所得税法226条を根拠として
源泉徴収票の交付を請求することができ

交付を受けられなかった場合の措置が、以下のとおり、定めてられいます。

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hotei/23100017.htm

これに対し
報酬の支払を受ける者は
支払者に対し
法律上支払調書の交付を請求することができず
あくまでも任意交付を求めることができるにすぎなません。

その意味で
自営業者は
支払調書の交付がないことを想定して
収入金額及び源泉徴収額を記帳しておく必要があるといえるでしょう。

以上