自己紹介(3)なぜ弁護士登録をすることにしたのか

2020年9月4日の私の経歴(1)では、コンプライアンス業務に関与するために
司法試験を受験したので、もともと弁護士になる気も、そのため
司法修習をする気もなかったことを書きました。
しかし、現在の私は、司法修習を経て弁護士になっていることに加え
手がけている業務も異なっています。
そこで、私の自己紹介の最終回として、当初考えてたことと
現在の職種が異なっていることについて書いておきます。

なぜ司法修習をすることにしたのか

司法修習をするタイミングは合格直後である必要はないので、
合格直後の修習を見送る合格者が毎年何人かいます。
ですので、当初は、合格直後から働き始め、
弁護士資格が必要となったら、その時に修習すれば良いと考えていました。

しかし、実際に合格してみると、私の場合、合格直後に修習しないと
司法研修所の修了試験をパスできないことがわかりました。
その理由は、
 ①年齢
 ②手で文章を書く能力の劣化
です。

約20年前に会計士試験を受験したころと比べると、
明らかに知力・体力が落ちていたので、
後になればなるほど、今よりも修習をこなせるだけの
知力・体力が落ちるのは明らかでした。
生まれつきの地頭が良いわけではない私が
司法修習を後に回すのは得策とはいえませんでした

また、司法試験で苦労したのは、
手で大量の文章を書くということでした。
というのも、会計士になった当初はWindows登場前だったこともあり、
手で文章を書くことが当たり前でしたが、
Windows95以降、PCの普及とともに手で文章を書くことはなくなりました。

しかし、司法試験は与えられた答案用紙に
手で文章を書くことが求められるものの、

手で文書を書くという行為から遠ざかっていたため、
頭で考えたことを答案に落とし込む作業になかなか慣れませんでした。

また、PCで文章を書く場合、順序を考えずに、
とりあえず文章を書く作業に取り掛かり、
後で構成を考えるという行為を長年やってきたため、

あらかじめ答案構成を考え、
どのような文章を書くかを事前に決めて、
その順序通りに文章を書くことに頭が切りかえられませんでした。

司法研修所の修了試験は5日間にわたって行われ、
一日中、手で文章を書くことが求められます。

しかし、仕事に戻るということは、
手で文章を書く作業から離れることと同じですから
私にとって司法修習を後にするという選択肢はありませんでした。

なぜ弁護士登録することにしたのか

司法修習中、私も他の司法修習生を同じように就職活動をしました。

違っていたのは、他の修習生は法律事務所がターゲットだったのに対し、
私の場合は一般企業がターゲットだったことです。

しかも、インハウスが配属される法務部ではなく、
内部監査部門や経営企画部門をターゲットにしていました。
その意味では、就職活動というより、転職活動に近い
といった方が良いかもしれません。

募集のあった会社に応募し、いくつか面接も受けましたが、
いずれも採用には至らないまま、2011年12月に司法修習を終えました。

幸い、以前から付き合いのあった監査法人から仕事の依頼があったので、
弁護士登録をせず、年明け後しばらくは会計士の仕事をしていました。

2012年3月になると、ある法律事務所からオファーがありました。
話を聞きに行ってみると、医療法人の出資金の評価業務を受託したものの、
どのように評価を行えばよいかわからず困っていたところ、
私が評価業務をしていた経歴を見つけて声をかけたということでした。

条件は良かったとは言えませんでしたが、
会計監査以外の仕事がしたかったので
弁護士としてその事務所で働くことになりました。

その事務所は、相続のコンサルティング会社と提携していたため、
比較的相続の事案が多く、
税務を取り扱っている今から振り返ると、
弁護士として初めて手掛けたのが相続の訴訟事案だったことはラッキーでした。

その後、別の個人事務所に移った後、
事業会社からオファーがあったのを機に、
2年度ほどその会社の経営企画部門で働きました。

その会社の居心地は悪くはなかったのですが、
管理職だったため業務に占めるマネジメント部分の比重が重く、
プレーヤー・専門家でありたいという私の志向とズレていたこと、
2015年11月に父が亡くなったこともあり、
地元の逗子に近いところで仕事をしたいと考え
その会社を退職することにしました。

神奈川県には都心部のように
弁護士を雇う会社が多いわけではないので、
私が逗子に近いところで仕事をするとなると
個人や中小企業を顧客とする
いわゆる街弁になる必要があります。

そして、私が他の弁護士と差別化を図るとすると
会計士であることを打ち出すことになりますが
会計士の仕事はチームで行う業務であり、
単独で行うには限界があります。

そこで、会計士であることを打ち出す以上
税務は避けられないと考え、
税務実務、特に監査法人では触れることのなかった
所得税や相続税の実務を経験する手段として
国税審判官になりました。

以上