裁決例 正当な理由があることを認めた事例

週刊T&Aマスター962号に
「正当な理由があると認められる」
(国税通則法66条1項)として

無申告加算税の賦課決定処分を
取り消した裁決の紹介がありました
(東裁(諸)令3年第131号)。

TAINSやDBで該当する裁決は
ヒットしなかったので
原文を確認できませんでしたが

記事によると

請求人が相続人であったにもかかわらず
請求人が相続人として記載されていない
法定相続情報一覧図に対して
法務局が認証しました。

そのため
請求人は自分は相続人ではないものと誤信し
遺産分割協議にも参加せず
相続税申告もしなかったところ

申告期限を過ぎてから
自身も相続人であることを知り
期限後申告をしたというものでした。

結論の妥当性

法務局という
法律のプロが間違えてしまうようなことを
法律の素人である請求人が間違えたとしても
責められないですから
取消しという結論は妥当だと思います。

他の相続人への影響

気になるのは
請求人は遺産分割協議していなかった
という記載です。
相続人全員が参加していない
遺産分割協議は無効ですから
請求人を交えて
改めて遺産分割協議をする必要があります。

他の相続人が
「申告期限後3年以内の分割見込書」
を添付したかどうかは結論に関係がないので
言及はないと思いますが
おそらく添付をして申告したでしょう。

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/sozoku-zoyo/annai/2327.htm

そうすると
一度適用した
相続税法31条《修正申告の特則》と
相続税法32条《更正の請求の特則》
をもう一度適用することになるのでしょうか。

それとも
その後の遺産分割に基づく
財産変動は所得税の領域に移るのでしょうか。

いずれにせよ
法務局のミスによって
余分なコストが発生したことになるので
その国家賠償請求は認められるのでしょうか。

事実関係を知りたいところです。