離婚後に親権者となった者が死亡した場合の親権
離婚をするときは
協議離婚の場合であっても
裁判離婚の場合であっても
どちらを親権者にするか
を決めておく必要があります(民法819条)。
そうすると
離婚後に親権者となった者が死亡した場合
親権が消滅することになるはずです。
そこで
子が未成年の場合には
最後の親権者は
遺言で未成年後見人を指定することができます
(民法839条)。
しかし
親権者とならなかった他方の親が
生存していた場合
その生存している親を親権者とした方が
子の福祉にとって良い場合であっても
未成年後見人にとどまり
親権者にはなれないのでしょうか
(民法819条6項参照)。
条文では無理そうであるものの
条文だけをみると無理そうと思って
法律相談の際に即答できなかったので
事務所に戻って調べました。
二宮先生の家族法第5版253頁に
これを認めた裁判例の記載がありました。
大阪高決平成26年4月26日判時2248号65頁
大阪家審H26年1月10日判時2248号65号
判タ1410号390頁
以下に家裁の判断基準を引用します。
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親が子に対する養育の意思を有しており
客観的な養育の環境も整っており
子が親との交流を円滑に行える状況にあり
親と暮らすことが子の意思にも沿うのであれば
最後に親権を行う者が
遺言により未成年後見人の指定を
行っているとしても
特段の事情がない限り
最後に親権を行う者から
生存親への親権者変更を認めることが
子の利益に沿うというべきである
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以上