残業代請求の税務処理(労働者側)

はじめに

残業代請求事件が解決した場合
使用者から従業員に対して
金銭の支払いがありますが
 ■残業代
 ■遅延損害金
 ■付加金
それぞれ所得税法の取扱いが異なります。

残業代

所基通36-9の(1)に
以下の記載があります。

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/05/01.htm#a-02

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契約又は慣習その他株主総会の決議等により
支給日が定められている給与等・・・についてはその支給日、
その日が定められていないものについてはその支給を受けた日
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令和3年版の逐条解説の321頁(大蔵財務協会)にも
以下の記載があります。

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労働基準監督署からの指導等により
過去の労働時間により計算した残業手当と
実際に支払った残業手当との差額を一括して支払う場合は

その本来の残業手当が支払われるべきであった
各支給日の属する各年分の給与所得となる。
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つまり、通達は、過去の残業代の残業代は
本来の給与支給日が属する年の給与所得にせよ
と言っており、

これは
残業代請求の結果、
後で一括して支払いを受けた場合であっても
過去の給与所得として修正申告をせよ

と言っているの同じです。

そのため、使用者側も
過去の支給額の修正し
不足額を追加納付することになります。

しかし
従業員にとっても、
使用者にとっても
非常に煩雑な処理です。

特に、従業員が既に会社を退職している場合には
尚更です。

そこで
こうした煩雑さを回避するには
過去の給与としてではなく
支払時の賞与として支払うことです。

つまり、通達に即していうと
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契約・・・等により
支給日が・・・が定められていないものについては
その支給を受けた日
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として支給すれば良いのです。

もっとも、この方法が使えるのは
あくまでも合意に至った場合であり

判決になった場合には
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契約・・・等により
支給日が定められている給与等・・・については
その支給日
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に当たることが明白なので
従業員側は過年度の修正申告が必要となってしまいます。

その意味では、和解で終わるとしても
過去の残業代として支払うとしてしまうと
判決で終わった場合と同じになってしまうことから
支払いの趣旨を工夫する必要があるといえるでしょう。

遅延損害金

判決で終了した場合
遅延損害金(民法419条)が発生します。

これは給与所得ではなく
支払を受けた日が属する年の一時所得になりますので
50万円を超える場合には(所得税法34条3項)
確定申告が必要となります。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1490.htm

付加金

判決により
労働基準法第114条に基づく
付加金の支払いを受けた場合

給与所得でなく
支払を受けた日が属する年の一時所得になりますので

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/04/08.htm

50万円を超える場合には(所得税法34条3項)
確定申告が必要です。

以上