税理士に対する賠償請求事件(東京地裁令和 3年 9月 1日判決)

T&Aマスターの934号(2022年6月13日号)31頁と
927号4頁で紹介されていた裁判例です。

逆ハーフタックスの養老保険の説明義務が
争点となった事件だったので

ウエストローで検索して
判決文を事実関係の箇所を
て読んでいたところ
以下の記述がありました。

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 (3) 原告は、平成29年3月28日、
  a生命に対し、本件保険契約の保険料として
  1,896万7,090円を支払った。
 (4) 省略
 (5) 原告は、平成30年5月25日、
   原告代理人を通じ、a生命に対し、…
   原告が支払った
   1,896万7,090円の返還を求めた。
 (6) 原告は、原告代理人に対し、
   a生命に対する返還請求の弁護士費用として
   463万6,891円を支払った。
 (7) a生命は、平成30年10月24日、
   原告に対し、1,896 万7,090円を返還した。

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注目すべきは
(5)と(7)です。
保険料全額の返還を受けているのです。

そうすると
何が損害なんだ?
と不思議に思い

当初の請求額を見ると
463万6,891円
でした。

この金額は(6)の弁護士費用と同額ですから

 説明義務違反の有無

という争点のほかに

 損害の範囲に弁護士費用が含まれるか

ということも
説明義務違反があった場合の次に
問題となります。

もっとも
契約違反に基づく損害に
弁護士費用は含まれない
という最高裁の判断が最近あったばかりなので

最高裁令和3年1月22日判決
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/963/089963_hanrei.pdf

棄却の仕方として
説明義務違反があったとしても
弁護士費用は損害に含まれないから
説明義務違反を審理することなく棄却
という判断もあったかもしれません。

以上