弁護士費用は債務不履行に基づく損害に含まれない?

最高裁令和3年1月22日判決
(令和元年(受)第861号 取立債権請求控訴、同附帯控訴事件)は
弁護士費用が債務不履行に基づく損害に含まれないことを判示しました。

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/963/089963_hanrei.pdf

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土地の売買契約の買主は、上記債務の履行を求めるための訴訟の提起・追行又は
保全命令若しくは強制執行の申立てに関する事務を弁護士に委任した場合であっても
売主に対し、これらの事務に係る弁護士報酬を債務不履行に基づく
損害賠償として請求することはできないというべきである。
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そして、その理由として、以下の3つを挙げています。

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理由1 契約当事者の一方が他方に対して契約上の債務の履行を求めることは、
    約の目的を実現して履行による利益を得ようとするものである。
    ←不法行為に基づく損害賠償を請求するなどの場合とは異なり
     侵害された権利利益の回復を求めるものではない

理由2 契約を締結しようとする者は、任意の履行がされない場合があることを考慮して
    契約の内容を検討したり、契約を締結するかどうかを決定したりすることができる。

理由3 土地の売買契約において売主が負う土地の引渡しや所有権移転登記手続をすべき債務は、
    同契約から一義的に確定するものであって、
    上記債務の履行を求める請求権は、
    上記契約の成立という客観的な事実によって基礎付けられるものである。
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実際の文章は
  理由1→また、理由2→加えて、理由3→そうすると、結論
という構成なので、接続詞があるか否か程度の違いしかないです。

これで説得的な理由になっているのでしょうか?

最初に読んだときには
「そうすると」という接続詞までに論理の飛躍があると思いましたし
今でも腹に落ちてきません。

理由1は、
信頼利益の回復のための弁護士費用は認めるけど
履行利益の獲得のための弁護士費用は認めない

理由2は、
自己責任というか履行リスクは当事者が甘受すべきものであって
履行のために要した弁護士費用は損害とは認めない

という最高裁の価値観というかスタンスを示しているにとどまり
どうしてそのような考えにいたったのか
のという疑問には答えていないですし

理由3に至ってはどうしてこれが理由になるのか
今でも分かりません。

近いうちに法律雑誌に評釈が出るでしょうから
その解説を待ちたいと思います。

以上

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