映画 高野豆腐店の春 バカ塗りの娘

地方都市における
頑固おやじの職人とその娘。

そんな映画を続けてみる機会がありました。

高野豆腐店の春

舞台は竹原。
豆腐店を営む父と父を手伝う出戻りの娘。

豆腐屋の朝は早いので
仕事をスタートするときは
まだ外は真っ暗です。

父が仕込み中に
娘さんが仕事場に姿を現し
本日もよろしくお願いします
と言って仕事がスタートします。

そして
朝日を浴びながら
向かい合わせに座って
出来立ての豆乳を飲み
その日の仕事の出来を判断して
その日の仕込みは終わります。

父と娘の母と結婚した理由を
知り合った女性に打ち明けるシーン。

新藤兼人監督の一枚のハガキでも
同じようなシーンがありました。

戦争中に限らず
閉塞的な地域では
珍しくないのかもしれませんが
父の娘を思う気持ちが
他の親娘とは違う理由が明かされる
大事なシーンです。

音楽にも注目

横浜ホンキートンクブルース
を作詞した藤竜也さんが父親役だからなのか
映画音楽エディ播さんが担当しています。

もう一言

寅さんを彷彿させる
世話焼きの近所の商店街の親父たちは
あまりにもベタなキャラクターなので
どうかとも思ったのですが

後から明かされるいくつかの設定が
いずれも重いテーマなので
コメディを担う彼らがいなかったら
鑑賞後の印象が異なっているかもしれません。

バカ塗りの娘

舞台は弘前。

漆塗りで文部科学大臣賞を受賞した
という名匠を祖父に持つ父と
スーパーのレジで働く娘。

地方独特の閉そく感も手伝い
もともと自己肯定感の低い娘は
ますます迷いが生じます。

ちょっといいな
と思っていた男性とは思いが叶わず。

漆塗りをしようとするも
父は廃業を匂わせ
漆塗りを使用とする娘を否定します。

また
父と離婚した後再婚した母親も
無神経に娘や漆塗業を否定します。

怪我を機に引退した祖父の行動と発言をきっかけに
娘は迷いをふっきり
漆塗りに没頭します。

主人公となる父と娘は
いずれも無口
という設定のせいか

効果音となる音楽もほとんどなく
親娘が並んで漆塗りをする場面では
2人はラジオや音楽も流さず
黙々と漆を塗り
父のそろそろ終わるべ
というセリフとともに
その日の作業が終わります。

テレビを持っていないので
仕事中も、休憩中も
ずっとラジオを流している私からすると
無音で集中できる方がうらやましいです。

職人

私自身も職人でありたいと思っているので
他の職人さんの映像を見たり
考え方を述べた本を読んだりするのが大好きです。

銀座すし屋の数寄屋橋二郎の日常を描いたアメリカ映画
◆二郎は鮨の夢を見る

http://www.magpictures.com/jirodreamsofsushi/

校正者の悩みを綴った
◆文にあたる/牟田都子

https://www.akishobo.com/book/detail.html?id=1074

そのほか

◆調理場という戦場/斉須政雄

https://www.asahipress.com/bookdetail_norm/9784255001531/

などが好きです。

以上

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