裁判例 生前に払い出された預貯金 東京高裁令和4年4月28日判決
生前に払い戻された預金に関する興味深い裁判例が
判例タイムズ1517号(2024年4月号)に掲載されていました。
1審も控訴審も
相続人の支払請求を認めた
という点では同じなのですが
その法律構成が違うのです。
1審(東京地裁令和3年6月30日金判1650号24頁)は
不法行為の成立を認めて
相続人への支払いを認めたのに対し
控訴審は
不法行為の成立は否定しつつ
寄託契約に基づく返還請求権を根拠に
相続人への支払いを認めたのです。
生前に払い戻された預貯金の返還を求めるには
どのような法律構成が考えられるか
については
下記コラムで裁判官による記事をご紹介しました。
上記記事では
◆委任契約上の善管注意義務違反による損害賠償請求
という構成が紹介されていましたが
今回の裁判例は
これとも異なり
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控訴人(注 払い出した者)は
W1(注 預金名義人)との間で
寄託契約に基づき
本件払出しによって払い出した金員を
保管する立場にあった
W1は、控訴人に対し
上記寄託契約に基づき
控訴人に寄託した金員の返還請求権を有するところ
W1の死亡によって
●らは
W1の控訴人に対する寄託物返還請求権を相続した…
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という理由で
相続人の請求を認めました。
寄託物返還請求権という構成は
損害発生の立証も不要ですし
非常にシンプルかつ分かりやすいと思います。
上告受理申立てがされているので
上記裁判が確定したわけではないですが
遺産分割の前提問題として争う場合には
非常に参考になる裁判例だと思います。
以上